子どもたちに平和を ーPeace For Children
2023年3月16日 梓澤和幸
2022年4月2日のTBS 報道特集の映像は胸に焼き付いて離れない。
40代の母親と9歳の少年がロシアの戦車に追われ、生きながら焼かれて命を奪われた。
母親の友人たちが二人のお墓を作った。その画像である。樹木でできた質素な十字架に二人の名前が書かれた。破壊された周辺の住宅や街路を背景にして目撃者は語っていた。
私の兄は戦争中、空腹からかコンクリートでできた防火用水槽の水を空腹からか吞んでしまい、疫痢にかかった。父は徴兵で佐倉の兵営にいた。近所の内科医は女だけの家庭にかけつけてくれなかった。つてを頼んでようやく遠くの小児科医が自転車で駆けつけてくれたが、間に合わなかった。3歳の兄ははいはいする私のことを気遣い、「和ちゃんは?」と呼んだという。「セイイチシス」中隊長室で読み上げられた電報でわが子の死を知った父は真後ろに卒倒した。
二人の男の子は私に問うている。
「僕たちの痛みと悲しみを忘れないで。戦争はなぜ起こるの。ねえ なぜ」
この答は論理ではなく。行動によって紡ぎださなければならない。
公園を歩くと、梅が枝が色とりどりに新しい季節を迎えようとしていた。ときはうつった。吹きだすように、誇るように咲く花のときがすぐそこにある。冬は明ける。
フランス人は「天気のように政治を語る」という。本当に。
そのようにこの身体にしみ込んだ言葉でこの国の現在と未来を語りたい。歩みながら。